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ビットコイン、10カ月ぶり安値——米国パンデミック市場での見方 - コインデスク・ジャパン

またもや市場が深刻な急落に見舞われた2020年3月12日(現地時間)、ビットコイン価格も大きく乱れている。

ビットコインは、当記事執筆時点の直前に、2019年5月以来の最安値5678ドル(約59万円)まで値下がりした。CoinDeskのビットコイン・プライス・インデックス(Bitcoin Price Index)によれば、これは24時間で25%の値下がりとなった。しかし同じくらい素早く、6550ドル(約68万円)超えまで反発した。

一方、ドイツのDAX、フランスのCAC、イギリスのFTSE 100など主要欧州株式市場は、当記事執筆時点で少なくとも6%下落している。S&P 500の先物は4.5%以上下落している。アジアの株式市場も、日経平均株価が4.5%下落し、打撃を受けた。

2週間前に始まったリスク回避の動きは、トランプ米大統領が欧州の大半の地域からの30日間の渡航制限を発表し、コロナウイルス対策のためのさらなる経済刺激策を求める投資家の期待を裏切った後、アジアの取引時間中に悪化した。

株価やビットコイン価格が下落する一方、典型的な避難先としての資産であるゴールドは値上がりするのに苦戦している。ゴールドは1630ドル(約17万円)の安値を記録した後、当記事執筆時点で1オンス1642ドルと前日からほとんど変わらない値で取引されている。

通常は安全な避難先資産である米国債は3月11日(現地時間)に下落し、ウォールストリートでの大幅な急落にもかかわらず、利回りが高まった。ダウ・ジョーンズ工業株価平均が5.9%下落したにもかかわらず、米国債10年物の利回りは10ベーシスポイント以上増加して、0.89%となった。

従来型の安全な避難先資産が現在苦戦している理由は、機関投資家が、株式市場におけるマージンコールの資金とするため、こうした資産でのポジションを清算しているからかもしれない。

マージンコールは、投資家のレバレッジアカウントの価値が最低マージン要件を下回ったときに発生する。投資家は、アカウントを最低マージン要件水準まで回復させるために、追加の資金か証券をもたらすことが必要となる。

「今日から機関投資家のリクイディティ(流動性)の問題が見られ始めた。弱気市場が始まって以来初めて、米国債もゴールドも、S&Pの下落をヘッジできなかった」と、エンジェル投資家で、メッサーリ(Messari)のプロダクト担当責任者、チャオ・ワン(Qiao Want)氏は3月12日朝(現地時間)にツイートした。

一方、ブルームバーグ・マーケッツ(Bloomberg Markets)のジョナサン・フェロ(Jonathan Ferro)氏は、株式が大幅に下落し、国際利回りが増加し、市場のリクイディティ・ストレスが浮き彫りになった3月11日(現地時間)を、ここ数週間で最悪の日と呼んだ。

事実、リクイディティへの渇望は3月11日(現地時間)に非常に強力なものとなり、ブルームバーグの複数資産担当記者ルーク・カワ(Luke Kawa)氏によれば、50%国債、50%株式のモデルポートフォリオは、史上最も大きく下落した。

「償還やマージンコールに対応するために人々は現金を集めている。市場のリクイディティは凍結し、人々は取引に苦戦している。押し目買いの精神は完全にひっくり返った」と、アジアでの取引時間中にフェロ氏はツイートしている。

ヘッジを期待されたビットコイン

一部の投資家は、ビットコインがリクイディティの源泉として扱われていると考えている。

「どのようにしてビットコインは、悪材料をヘッジする存在であったのに、市場から消え失せて、リスク資産のように取引されるようになったのだろうか。先週のように、悪い事態が更に悲惨になるとき、投資家はなるべく早くレバレッジを下げようとする。他の損失を埋め合わせるために、利益を確定させる」と、ビリオネア投資家でギャラクシー・デジタル(Galaxy Digital)のCEO、マイケル・ノヴォグラッツ(Michael Novogratz)氏は今週、2月下旬におけるビットコインによる13%の値下がりを説明するツイートを行った。S&P 500は同じ週に、2桁の下落に苦しんだ。

ビットコインの先物市場のデータは、同氏の主張をある程度裏付けている。未決済の先物契約の合計数を示す全世界の未決済の建玉は、ここ数週間で大幅に減少し、機関投資家による活動の低下を示している。

スキュー(Skew)のデータによれば、未決済の建玉は2月14日(現地時間)に50億ドル(約5190億円)で頭打ちとなり、ほぼ2カ月ぶりの低水準となる38億ドル(約3945億円)近くまで下がった。

一方、最も流動性の高い先物市場の1つであるシカゴマーカンタイル取引所(Chicago Mercantile Exchange)における建玉と先物の取引高も、ここ数週間で大幅に減少している。

建玉は2月14日に3億3800万ドル(約350億円)という高水準を記録した後、3月11日には、1月6日以来の最低水準となる1億7100万ドル(約177億円)へと下がった。取引高も3月6日、3カ月ぶりの低水準である8800万ドル(約91億円)を記録し、3月9日には一時的に上昇した(すべて現地時間)。

アーケーン・リサーチ(Arcane Research)のツイートによれば、「コロナウイルスに関しての恐怖が蔓延するこの不安定な時期に、機関投資家はビットコイン取引の手を休めているようだ」

緊急利下げを米国は行うか

コロナウイルスの感染拡大が減速する様子を見せない中、株式、そして圧力を受けたビットコインも、値下がりを続けるかもしれない。

米連邦準備制度理事会(FRB)が市場のリクイディティの問題に対処するため、予定されていた来週の会議を前に新たな緊急利下げを行うかもしれないという噂が広がっている。

しかし、市場では、追加の金融緩和策は経済活動のカタリストとはならないという意見が大勢を占めており、利下げは持続可能な反発を生みだすことはできないかもしれない。制度的な失敗ではなく、世界的なパンデミックによって、この国際的な需要と供給に対する脅威が引き起こされている。

翻訳:山口晶子
編集:T. Minamoto
写真:Shutterstock
原文:Bitcoin Hits 10-Month Low Below $6K Alongside Stock Markets Plunge

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March 12, 2020 at 08:54PM
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