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「小型建機」市場が大躍進、コマツや日立以上に期待の “建機のベンツ”とは? - ビジネス+IT

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これだけある、「小型・ミニ建機」が今後の10年も期待できる理由

(Photo/Getty Images)


日本は建設機械の一大生産国

 現代の建設工事には建設機械が投入され、自動化、省人化、ハイテク化(デジタル化、インテリジェント化)が大きく進んでいる。横一列に並んだ何千人もの労働者が笛を合図にシャベルで一斉に運河を掘る──毛沢東時代の中国の記録映画に見られた、こうした「人海戦術」は、すでに遠い過去の物語だ。

 日本は、建設機械の一大生産国である。金額ベースでは米国に次ぐ2位で、主要建機メーカー売上高の世界ランキングでは、1位の米国のキャタピラー(CAT)を2位の小松製作所(コマツ)、3位の日立建機の日本勢が追いかけ、4位はスウェーデンのボルボである(2018年)。さらに、クボタ、コベルコ建機、ヤンマー、住友建機などの日本勢が続く。メード・イン・ジャパンの建設機械は、国内だけでなく海外の建設現場や鉱山でもその品質の優位性を発揮し、一大輸出産業になっている。

 一般社団法人日本建設機械工業会の「建設機械出荷金額統計」によると、2019年1年間の出荷額は総額2兆6,328億円だったが、そのうち国内出荷額は1兆196億円(38.7%)、輸出額は1兆6,132億円(61.3%)で、輸出のほうが上回っている。

 国内向けと輸出を合わせた出荷総額は、2010年の1兆8,489億円から2019年にかけて42.4%伸びている。多少の凸凹はあったものの、おおむね右肩上がりで伸びてきた。

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日本の建設機械全体の出荷金額の推移

 2010年代は、東日本大震災の復旧・復興需要、東京オリンピック・パラリンピックの関連工事、都市再開発プロジェクトの林立、老朽化した社会インフラを再建する国土強靱化計画、タワーマンションや相続税対策のアパートの建設ブームなどがあり、国内の建設需要は大きく伸びた。

 輸出に関しては、経済成長が続いて建設需要が旺盛だった中国を軸に成長した。ただし、年による変動が大きく、過去10年の国内出荷の伸びが101.1%とほぼ2倍だったのに対し、輸出の伸びは20.2%にとどまっている。

「小型・ミニ建機」が躍進した2010年代

 建設機械のジャンル別にみると、2019年で最も出荷額が大きかったのは「油圧ショベル」の9,550億円で、それに次ぐのが3,163億円の「ミニショベル」だった。「建設用クレーン」の2,856億円、「トラクタ」の2,842億円がそれに続いている。

 しかし、さかのぼった2010年の統計では、「油圧ショベル」「トラクタ」「建設用クレーン」の順であり、「ミニショベル」は1,326億円で2019年の半分以下でしかなかった。

 日本建設機械工業会の統計では、機体質量6トン以上を「油圧ショベル」、6トン未満を「ミニショベル」と呼んで区別しているが、両者は土を掘るような基本機能はほぼ同じであり、兄弟のようなものだ。過去10年の成長率は、“兄”の油圧ショベルが29.6%に対し、“弟”のミニショベルは138.5%(約2.38倍)と進境著しい。特にその輸出額はきれいな右肩上がりを描き、2019年には2010年の2.5倍になっている。

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油圧ショベル、ミニショベルの出荷金額の推移

 10年で国内出荷額が405億円から854億円へ2.1倍に拡大し、国内以上に海外でもてはやされるミニショベルは、まさに日本製建設機械の「伸び盛りのホープ」といえる。ミニショベルに限らず、トラクタ、クレーン、ホイールローダー、ブルドーザーなど、サイズが小さい「ミニ建機」も近年、その出荷額を伸ばしている。2010年代はまさに「ミニ建機、躍進の10年」だったといえる。

「国土強靱化」予算増額が追い風に

 大型の建機は大規模な工事、ミニ建機は小規模な工事に使われる。たとえば、丘を切り崩して新しい高速道路を建設する現場では、大型の油圧ショベルを投入しないと効率が悪い。一方、市街地の幅の狭い生活道路を掘り返して、水道管やガス管などライフラインの補修を行う工事では、小回りのきくミニショベルの出番になる。

 ライフラインの補修だけでなく、宅地造成や住宅・アパートの建築、公共施設や中小ビルのリフォーム、中小ビルの解体、災害復旧工事、冬季の除雪、農地の整備などでもミニ建機は活躍する。2010年代に国内需要が膨らんだ分野が多く、それに比例してミニ建機の需要も伸びた。ミニショベルの国内出荷額2.1倍という結果は、それを裏付ける。

 さらには「国土強靱化」も追い風となった。ライフラインの補修も含め、約50年前の高度成長時代に盛んに建設された高架橋、橋梁、トンネル、防波堤、ダムなどの土木構造物は、老朽化を遅らせるためにも、地震や台風など自然災害に備えるためにも、大規模補修の適齢期を迎えており、政府は国土強靱化関係予算を年々増額させている。

 内閣官房国土強靱化推進室の「国土強靱化関係予算案の概要」によると、2014年度は3兆6,094億円だった国土強靱化当初予算が、2020年度予算案では4兆574億円となり、初めて4兆円の大台に乗った。その間の伸び率は12.4%で、公共事業関係費に限ると12.6%伸びている。

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国土強靱化関係予算の推移

 それに加え、当初予算とは別に、2018年12月に閣議決定された総額おおむね7兆円規模の「3カ年緊急対策」から、2020年度は1兆1,408億円(公共事業関係費7,902億円)が上乗せされた。東日本大震災から9年が経過し、東京オリンピック・パラリンピック関連の建設工事がほぼ終了している現在、国土強靱化は国内の建設需要、建設機械需要を下支えする存在になっている。

【次ページ】コマツ、日立建機などの建設機械大手も「小型・ミニ建機」を重視

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April 13, 2020 at 04:10AM
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